あのね
木綿のハンカチーフってあるでしょ?
今日飲んでた店で久しぶりに聴いたんだけどさ。
ってゆうか前から思ってたんだが、あー。
一応これな。
こーいーびとーよー 僕はーたーびだーつぅーてやつ。
東へと向かう列車で。
これさ、ふられて当たり前だろう!みたいな。
おまえー!みたいな。
男のやることなすこと全否定なんすよ。この女。
まあ田舎に彼女を残して都会にでていったんでしょうね。彼氏18歳あたりでしょうか。
初給料でなんか大好きな彼女にプレゼントしようと思ったんでしょう。
華やいだ街で君への贈り物をさがすつもり、って言ってんのに、
いいえ、あなた、あたし欲しいもんなんかない。んな都会都会星とか、のび太の宇宙開拓史みたいな事言ってないでさっさとこっちかえってこいって言うんですよ。
そのつぎに、半年過ぎたけど会えなくてごめん、ちょっと仕事も慣れてきたし、余裕もでてきたから、こんどこそプレゼント。指輪を贈るよ。君にきっと似合うはずだー。
って言ったらこうですよ。
いいえ、そんなモンいらねぇからキスして。
おれの体目当てですよ。
ここムリヤリかな。
次は、がんばってる、都会でなんとかやっていけてる、てゆうか、マジ楽しいんですけどオレ、っていう写真を彼女に送りつけるわけですよ。アホウかコイツは。
イケてるおれをみろと。派手な毎日だろう?田舎じゃこうはいかねぇ。お前はいまだに牛の乳しぼったり、隣近所のジジイババアと狭い世間しかしらねぇで、小さいくだらねぇ話に花を咲かせてんだろ。
彼女はやっぱり、いいえ。と。
いいえ、草に寝ころぶあなたが、好きだったの。
都会は寒いでしょう。体に気をつけて。身体に気をつけてね。
そんな彼女に男は言う。
もうお前なんか忘れた。おれは変わったんだ。
もう楽しくて楽しくてしょうがねぇんだよ。だってトーキョーだぜ?世界の都トーキョーだぜ?
田舎なんかクソつまんねぇ。帰る?
帰るわけねぇだろ。バカかてめぇ。ふざけんな。マジで。ていうかオマエ誰だっけ?
彼女は健気にに言う。
あなた、最後のわがまま。贈り物をねだるわ。
ねぇ、涙拭く木綿のハンカチーフください。ハンカチーフください。
泣けてくるね。
あれ?男、悪者になってしもた。
しもうたー!男、悪者になってしもうたー!
こんなつもりじゃなかった今、午前2時35分。
おやすみ。